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穏やかな海

わかること、わからないこと、わかろうとすること。

  • 執筆者の写真: さちこ たけもと
    さちこ たけもと
  • 5月1日
  • 読了時間: 3分

 クライエントさんのお話をきいていて、「わかる~!」と思うことも「どういうことだろう・・・」と思うことも多々あります。よく「子育てしたことない人にはわからない」とか、「この病気はなってみないとわからない」という言葉も聞きますね。


「わかる」と思うとき。「わかります!」と言う時。

 大切なものを失くしたつらさ、時間に遅れる焦り、思うようにいかないもどかしさ、私も経験したことがある。だから、「わかる」と思うと同時に、安易に「わかる~!」と言わないようにしています。人は「同感」はできないものだからです。私の体験したつらさ、焦り、もどかしさと、違うものを体験しているかもしれないから。タンスの角に足の小指ぶつける痛さは同感かもしれないけれど。 でも「ちょっとわかる気がします」くらいの表現で、あえて言う事もあります。そう感じることは、あなただけではないよ、って届けたいとき。


「わからない」と思うとき。「わかろうとする」とき。

 たとえば、知らない業界のこと、知らない領域の趣味の話、行ったことのない場所、地域の風土・・・あげればキリがないほど、私は知らないことが多いです。でも、「わからない」ことを「わかってる」ことは大切だと思っています。だから、「わかりたい」し、「わかろうとする」ためにいろいろ聞きます。そこで言葉にしていくプロセス、ニュアンスを共有する体験もカウンセリングの大事な要素ではないかと思います。

 色んな人生があって、色んな病気や障害や困難があります。治療者、セラピストがその全てを体験しているわけではありません。〇〇科で仕事するのに、その科で診るすべての疾患を体験したことのある治療者はいません。もしいたら、大変ですよね。「溺れている人を助けるためには、自分が溺れていてはだめなのよ」と昔、指導教官に言われたことがあります。だから、勉強します。本や研修や当事者の方から学びます。


「わかりあえないとき」はどうする?

 体験を伝えても、伝わらない。わかろうとしてくれてるのはわかるけど、ちょっとずれてる。違うとらえ方をされている気がする。決めつけられている気がする。キャッチボールになっていない。 そういう「わかりあえなさ」があったら、その「わかってもらえてないこと」をカウンセリングの場で話し合えるとよいと思うのです。 私は、クライエントさんから「そうじゃなくて・・・」「というよりは・・・」という言葉が出てきたら、それは私の(ズレた)言葉を受けて違和感を感じ、ご自身の感覚をつかめていること、そのやりとりができているんだなととらえて嬉しく思います。


 治療者に対して迎合する、本当は違うのに同調する、思ったことを言わずにいる、ということを起こさせてしまうのは悲しく思います。そういうことこそむしろ、言って下さると非常に良い材料になることばかりです。ぜひ、葛藤をぶつけてみてほしいと思います。

 
 
 

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