心理検査について思うこと。
- さちこ たけもと
- 3月6日
- 読了時間: 3分

病院勤務時代、私の主な業務は精神科での心理検査とカウンセリングでした。対象はとっても幅広くて、小学校上がる前のお子さんへの性格検査・知能検査もしましたし、高齢者への認知機能の検査、外傷などで脳機能にダメージを負った方への高次脳機能検査、親子のカウンセリング、高齢者とのカウンセリング(というより、人生の先輩との語らい)、対象年齢も疾患もアプローチも、主治医(病院なのでたくさんいる)からの指示を受けて、オーダーメイドにやっていました。特に心理検査は種類も数も、かなりの経験をさせてもらいました。年間で100件以上はとっていたと思います。カウンセリングは年間のべ800件くらい実施していました。今はクリニック勤務なので、取る種類も回数も変わっています。
心理検査は組合せもタイミングも大事
医師から依頼を受け、患者さんの状況から実施する心理検査の組み合わせを考えたり、カウンセリングの方向性を決めていきます。私は検査をセレクトする瞬間が結構好きです。カルテの情報から、この人の困り感を一番説明してくれる検査は何か、どの情報を明示すれば役に立つか、ひとつの検査をやりながら、「あ、この所見が出るなら追加であの検査もやった方がいいな」とか考えながら実施しています。神経心理学を専門に研究している医師がいたので、よく検査所見を持ってその先生を訪ね、脳画像と見比べながら色々と教えてもらっていました。脳リハ系の研修会もとても面白かったです。
実施するタイミングも重要です。種類によっては一度実施するとしばらくは同じ検査をできないものもあります。また検査の負荷が強いと、病状が重いときにやっても意味がありません。
検査を介して、応援団になりたい
検査で一番力を入れるのは、結果のフィードバックをするとき。1回の検査結果説明でその方の生きづらさが腹落ちできたら、めちゃくちゃいいんじゃないかと思っていまして。とはいえ、「ズバリ言うわよ」と結果や数値を決めつけるのではなく、その人に届く言葉で、これまでの経験に添う表現やたとえを使い、必ず支援策をお伝えする。そして、終わったときに、「ちょっと気楽に次の一歩を踏み出してみよう」と思ってもらえるように。その背中をそっと押せるように。たとえば、IQ=100の結果が得られた人が二人いたとして、同じ所見にはなりません。これまでの問題、検査中の様子、詳細な検査結果の内容で全く表現は異なります。
「あなたが自分のせいだと思ってきた問題は、実はこういう要因が影響してそうだよ!だって検査がこういってるもの。支援策や工夫がありそうだよ!!少し重荷をおろして、やり方変えてみない?」って、全力応援をしたいのです。という、熱い思いをこめて、検査結果の所見を書いています。
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