予約、という約束
- さちこ たけもと
- 4月23日
- 読了時間: 2分
カウンセリングに関するお約束のことを、心理業界では「治療契約」とか「治療同盟」と呼びます。1回あたりの時間と料金、何を扱い、扱えないことは何か、守秘義務やその例外について、頻度や回数について、などのお約束ですね。
決まった時間にスタンバイして、決まった時間に終わり、次の約束をする。日常で「話す」という行為に関して終わりを決めて臨むことってほとんどないですよね。そして、日常における「話す」の多くは、心ゆくまで、カタがつくまで、気持ちの区切りが付くまで、話を進めて、話を終えますよね。カフェで空のグラスの前でずっと話していたり、学校の懇談や面接試験などでも、どちらかが大きな関心や疑問があれば、それを聞き終わるまではある程度の時間をとるのではないでしょうか。私はパン食べ放題の店で食べながらお喋りしていたら6時間経っていたことがあります(苦笑)
カウンセリングの場合は、時間の終わりが決まっていて、「まだ話したいことがあったのに…」というところで時間がきてしまうことがあります。そういうときは「続きは次回に」となります(緊急の場合はのぞく)。いいところで打ち切るなんて、と冷たい感じがするかもしれません…。
次の約束をする、ということはカウンセリングの合間の期間を決めることでもあります。その間にも生活やこころの変化が常に生じ、前回話していたことが大きく動いたり、話しきれなかったことを自分で考えているうちに内省が深まったりすることがあります。それもカウンセリングの重要な作用だと考えられています。どうしてもたくさん話したいことがある人は、時間内に話す順番や、まとめ方を工夫するようになることが、思考の整理に役立つ側面もあります。
次の約束までは生きよう、とか、次の約束の日までに話すことを考えておこう、という方もいらっしゃるし、初回の方なんかは初めての予約がどきどきで胸が重くなるかもしれません。約束すると途端に何か縛られた気がして、落ち着かなくなって、キャンセルしたくなっちゃう人もいます。その時の気分なんてわからないから約束が苦手、という人が多いです。
「また次回」というとき、「待ってますね」という思いと、「また会えますように」「次まで持ちこたえられますように」と祈って、場を閉じています。初回の方の予約を受けたときは、「丁寧に出会い、丁寧に終えられますように」と祈っています。
次の約束をすることの重みに、たとえ再会が叶わなくても、願わくばあたたかさが伴えばいいなぁと願って、「次回どうしましょうか」とお声がけしています。
Re:treatこころの相談室たけもと さちこ
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